介護施設のメーカー

もちろん、「あそこで明治通りと交差している道の正式名称は北参道だし、JR品川駅より南にある京急北品川駅と違って、地理的にもほぼ正確に表参道の真北にあるんだから、北参道駅のほうが素直じゃないか」という人もいるだろう。 しかし、北という方角はイメージが悪い。
地名として手垢がついているのは東西南北どこでも同じだが、北というとどことなく演歌的センチメンタリズムの匂いがする。 それに名前を選ぶとき、大事なのは希少性と識別性、平たくいえば「目立ったもん勝ち」ということだ。
その点、「裏」という接頭辞は目立つ。 使う人間や場所を選ぶからだ。
だいぶ昔のことだが、日本海側の人たちが「表日本、裏日本という呼びかたは差別用語だからやめろ」といい張って、その後この簡潔な表現は天気予報ゃなんかでも、使われなくなってしまった。 それぐらい、使い手に自信がないと使いこなせない表現だということだ。
だから、裏渋谷とか、裏原宿とかあだ名や通称としてはけっこう使われているが、めったに正式名称にはならない。 別そして、裏という表現は、どことなく非日常的で、うさん臭くって、非合法なところもあって、秘密めいた感じにあふれでいる。
新千駄ヶ谷なんて平凡な名前をつけるより、裏参道にしたほうが絶対発展するだろう。 京成電車とも京浜急行とも相五乗り入れをしている都営浅草線が東京駅に乗り入れることには、非常に大きな意義がある。
たかだか五億円から六億円の総投資額でできるものなら、絶対に推進すべきだ。 都営地下鉄浅草線が直接東京駅に乗り入れることには、東京駅から羽田や成田に乗り換えなしで行けるなんてことはメじゃないくらい、大きなメリットがある。
それは、東京周辺の地下鉄駅には奇妙な真空地帯があって、いまのままだと山手線の東の端にある東京駅に東側の地域から電車で通うのはすごく不便だということだ。 東京駅から真っすぐ東に延びる八重洲通り沿いには、まったく不思議としかいいようがないくらい地下鉄の駅がない。

東京駅の八重洲口側は、地下鉄駅の「大真空地帯」になっているのだ。 駅のすぐ前を通る丸ノ内線は、銀座から東京駅直前までは外堀通り沿いに走っているが、そこで西によれて東京駅では丸の内側に抜けてしまう。
中央通り(銀座通り)沿いの銀座線は、わざわざ八重洲通りとの交差点を避けて、京橋と日本橋に駅をつくっている。 その次の大きな南北方向の通りは昭和通りだが、これも都営浅草線の宝町と日本橋に駅があって、八重洲通りとの交差点には何もない。
やっと八重洲通り沿いで駅にぶつかるのは、新大橋通りとの交差点にある日比谷線八丁堀駅で、東京駅まではおとなが急いで歩いても一分以上かかる。 るなそして、地下鉄最大の乗換駅である大手町駅は、JR東京駅のすぐ北西にあるが、ここを通る地下鉄は東西線を除けば、全部南西から来て、北か北西に抜けてしまう。
JR総武線は、御茶ノ水駅で中央線と分かれて、山手線と交差するのは東京駅よりだいぶ北側の秋葉原駅だ。 東京駅の東側に住む人聞が直線に近い経路で東京駅のそばにたどり着けるのは、悪夢のように長い距離を歩かされる京葉線東京駅と、総武快速線と東西線だけなのだ。
総武快速線は京葉線ほどとんでもなく不使なわけではないが、地下四階のホームまで降りていかなきゃならないし、横須賀線と直通運転をしているので、帰りも始発電車を待って座って帰ることができない。 こういう不細工なネットワークになっているため、東京駅のすぐ東側でさえ、毎日の通勤に一時間以上かけている人が異様に密集している地域がある。
都営浅草線が東京駅に直接乗り入れれば、京成電車で東側から来た乗客が迂回せずに東京駅周辺のオフィス街に直行することができる。 都心に近いのに通勤時間は長いという地域(次ページの図を参照)も大幅に縮小されるはずだ。
これだけ大勢の人たちの通勤時間を短縮できる鉄道網改良なら、投資効率は非常にいい。 そして、新宿、渋谷に比べて地域の勢いが見劣りする丸の内・大手町地区、八重洲・日本橋・京橋地区の活性化にも大いに貢献するだろ都営浅草線の東京駅乗り入れは、断固として、優先課題として取り組むべきだ。

小泉首相が国債発行高を抑えるために相当がんばったとしても、今後一年か二年はもう発行してしまった国債の重みがのしかかってくるので、国も地方自治体も相当深刻なケチケチ行政を続けざるをえないだろう。 そうすると、都庁という行政機関が、いまや東京でも有数のオフィス街としてたっぷり賃貸収入の稼げる西新宿超高層ビル街区で、あんなに図体の大きな「バブルの塔」にこもって仕事をしているのはもったいない、ということになってくる。
別に都庁職員の人数を減らす必要はないだろう。 いまでも日本の官僚の人数は、固と地方自治体全部ひっくるめても、先進国の中では最低に近い。
問題は、管理部門としてオフィスにこもって自分の仕事を自分でり出している「パーキンソンの法則」(その中の一つには「立派な建物の吉小ひんし東完成は、その組織が瀕死であることを告げる」というのがある)の権化みたいな官僚ばかりが多すぎるということだ。 だから、この連中にしかるべき訓練をほどこして、高齢者の介護施設とか、学齢前児童のデイケア、ナイトケアセンターとかの現場にどんどん送り出す。
そして、いまより三割か四割こぢんまりとなった管理部門は、西新宿の豪勢な庁舎は高い賃貸料が払える企業テナントに譲って、土地代も賃貸料もずっと低い場所に引っ越すべきだ。 もし都庁所在地として新宿に取って代わる街が現れるとすれば、本は吉祥寺、対抗は立川、穴は二子玉川、大穴が調布だろう。
この四つの候補地に共通する特徴は、立川だけはずっと昔から完成された直角交差都市だけど、そのほかの三つは未完の直角交差都市だということだ。 未完の交差都市というのはどういう意味かというと、二つの鉄道路線が交差するのではなく、一つの鉄道路線にもう一つがぶつかって、そこで人の流れは堰き止められてしまう格好になっているということだ。
こういうハンディがあってもけつこう発展してきた街が、完成された直角交差都市になって四方八方から人を集めることができるようになれば、もっと発展する。 首都圏でもいちばん発展のポテンシャルが高い都心から南西の方角には、五つの未完の直角交差都市がある。
京王井の頭線の終着駅、吉祥寺駅と、小田急小田原線から江ノ島線が分岐している相模大野駅、東急大井町線の両端、大井町駅と二子玉川駅、それに京王電鉄京王線から相模原線が枝分かれしている調布駅だ。 「JR中央線から西武国分寺線が枝分かれしている国分寺駅とか、同じく中央線から西武多摩川線が枝分かれしている武蔵境駅はどうなんだ?」というようなことをいいはじめたら、きりがない。
西武鉄道は基本的に不動産屋が経営している鉄道会社だ。 鉄道屋が経営している不動産会社である東急と違って、いつまで待っても鉄道をネットワークとして有効に活用しようとする気配はない。
大崎駅は、いまのところ山手線一本が通っているだけで未完も完成もなく、鉄道路線が交差していない。 でも、交差駅になる展望はしっかりしている。


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